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×ちょっとお知らせ的な

2012-02-12 22:33

hapiba-chiosan2.jpg
和柄はこちらから⇒ http://tomorrow301.web.fc2.com/

和風な臨帝って美味しいですよね、という。お友達のお誕生日用に描いたものです。
鬼というか、妖怪みたいな臨也と人間の帝人くんのお話とか、読んでみたいなー。

Pixiv、パソコンにあったログを適当に入れました。無造作に。デュラとOthersに入ってます。
もひとつ、Offも更新しました。アンソロに参加させて頂きます~^^

さて、お知らせというかなんというか。
このサイトはとりあえず倉庫化しようと思います。
更新はおそらく、Pixiv優先になると思います。Pixivで上げたものを、順次こちらに移動していく形になります。
とりあえず今あるものをぶっこんで、Pixivをつなげておこうかと思います。
まぁ、その。これまでと基本的な体勢は変わりません。

30万Hits企画ですが、可能ならばこなしていけたらいいな、とおもいます。(その意思はあります・・・)
もはや誰もお待ちではないかもしれませんが、私の自己満足です。
ヒバツナを書くかもしれません。臨帝も書くかもしれません。
ハマっているユリルクを書くかもしれません。
なんともいえませんが、好きなように、好きなだけ。のんびり残しておこうと思います。
更新を積極的にすることはありませんが、私のオタクとしての心の拠り所といいますか・・・。
オタクをやめることは出来ないので、オフはわかりませんが、サイトという場所は欲しいです。
スペースとして残しておきたいという気持ちがあるので、サイトはしばらくはこのまんまです。
ブログもこのまんまです。時々顔を出したいです。
これまで本当にありがとうございました。


さて、続きから。
発掘したのでヒバツナのっけておきます。いちえさんとこのネタの、オトメン雲雀なお話です。
いちえさんいつもネタをありがとう(笑
季節はずれな感じでクリスマス。後編が書きかけのまま、ずっと放置してあったので
もういいか、と前編だけでもリサイクル。

並盛高校の応接室は雲雀恭弥の私室同然に使用されている。
風紀委員のための部屋ではない、雲雀恭弥個人の使用する部屋なのだ。だが実際は、本当の私室とは似ても似つかぬ殺風景で最低限の物しかない部屋だ。まず第一に、ぬいぐるみも人形もない。雲雀の愛読書である少女漫画もおいていない。可愛らしい手作りのキルトに覆われたクッションもない。おおよそ男子学生の部屋とは思えない雲雀の私室とは大違いなのだ。それでも簡易キッチンにおいてあるカップ(某高級メーカーのものだが)は、シンプルなデザインながらもどことなくファンシーだし、おいてある紅茶の葉はこだわりに満ちている。常備してあるお茶請けはすべて雲雀の手作りのクッキーやケーキで、それはもう見た目からして可愛らしく、見た目通りに味もいい。
そこはかとなくオトメンの香りがします、とは骸の言葉だ。もちろんこの応接室で雲雀からお茶やら菓子やらを振舞われる人間などそうはいないため、問題はない。

そんな隠れオトメンのための応接室の真ん中においてある上質なソファに腰掛けた雲雀恭弥は、その目を奪われていた。黒い艶やかな瞳はその手元のものに釘づけだ。雑誌を握り締めるその手は震えてさえいる。
雲雀の目は輝いていた。
感動に瞳が潤んでいたのだ。その瞳にちらちらと星が輝いていてもまったくおかしくはない煌めきである。
雲雀はうっとりとまばたきをした。その手に握られた雑誌の表紙には可愛らしい漫画キャラクターの少女が季節に合わせてサンタのコスプレをして微笑んでいる。
いわゆる、少女漫画雑誌。
本日発売のこの漫画雑誌、女子生徒からの没収品ではない。正真正銘雲雀の私物である。
朝一で顔を隠しながら購入したこの少女雑誌には、雲雀の心をときめかせ、捕まえて離さないクロームどくろの漫画『らぶ☆ひっと』が好評連載中だ。主人公恭野ヒバリの恋の進展が気になって仕方がなかったので漫画を応接室に持ち込んで朝から読みふけっていたのだ。
最近恋をしてしまった雲雀の乙女指数は鰻上りである。普段ならばネットで漫画を買い、自宅に届くまで我慢するのだが、乙女心が溢れてしまって我慢ができなかった。
結果、マフラーをいわゆる真知子巻きにしてサングラスをかけるという不自然極まりない変装をして本屋に漫画を買いに行く羽目になった。

しかし今回の話も素晴らしかった。変装をして本屋に乗り込むという苦労をしてまで買った甲斐があるというもの。思わずきゅんと高鳴る胸ともに漫画雑誌を抱えながら雲雀は、ほう、と息をついた。
恭野ヒバリの切ない恋心にどうしてこうも共感してしまうのだろう。
クロームどくろは偉大だ。きっと『らぶ☆ひっと』の作者である彼女もこのような切ない恋をいくつもしてきたに違いない。

「素晴らしいね……クロームどくろは。尊敬すべき女性だ」

つい呟いてしまった雲雀の耳にクッキーをざくざくと盛大に奥歯で砕く音が届いた。

「相変わらずお菓子作りが上手ですね、雲雀君。……いえ、なんだか最近ますます腕に磨きがかかっているような」

売っているクッキーよりも下手すると見た目も味もいいですね、と言いながら遠慮無く骸はクッキーを口に放り込んでいく。
さくさくと小気味良い音がする。雲雀特製バタークッキーだ。普通のクッキーよりもバターの量が多いのでざっくりとした食感がとても美味しく、たねが冷凍保存できるためいつでも手軽に作れるので雲雀も気に入っている。

「綱吉の分、ちゃんと残しておかなかったら咬み殺すよ」
「言われなくてもわかっていますよ」

独特な髪型の房の部分をゆらしながら、クフフとこれもまた独特に笑って、骸はクッキーをもう一つ口に入れた。
なぜ朝からこの男は応接室にいるのだろう。
雲雀は先ほどまでの甘酸っぱい気持ちを心の隅に追いやって眉をしかめた。授業をサボっているという点では雲雀も同様であるが雲雀には一応風紀委員長の仕事という大義名分が立つ。漫画を読み終わったら溜まった書類をきちんと片付ける予定であるし、問題は無いだろう。
だが六道骸にはサボる理由など当然ない。完全なるサボタージュ。
風紀委員として指導すべきなのだろうかとは思うのだが、この男は雲雀の秘密を知る男で自称雲雀の親友だ。
正直認めたくもないしうっとうしいとも思うのだが、それでも極稀にこの男に助けられることもあるものだから、徹底的に咬み殺すことも、そう邪険にすることもできずに結局許容するしかない。仕方なく昨夜作ったクッキーと紅茶を出して持て成している。
もちろん、骸が雲雀のこの独白を聞いたのならば、目を見開いてあれのどこが邪険じゃないんですか! と吠えるだろう。
なんとなく複雑な気持ちで骸を眺めてため息をつけば、骸が咀嚼しながら話そうとしたので、ソファの向かいに座る男の鼻先に、雲雀はずいと無言で紅茶のカップを差し出した。
口の中に物を入れたまま喋るんじゃない。きろりと睨めば、骸が苦笑した。
紅茶でクッキーを流し込むようなことをせず、骸はクッキーをきちんと飲み込んでから優雅に紅茶を口に含んだ。もちろん丁寧にご馳走様でした。と、美味しかったですよ。と言うことも忘れずに。
邪険にしきれないのは、この男のこういう部分を度々見てしまうからなのだろう。まぁそれでも3日に1回は咬み殺すのだが。

「今回の『らぶ☆ひっと』はそんなに君のオトメン心をくすぐりましたか?」
「オトメンって言うな」
「これは失礼」

自分が男の中の男とは程遠いことは重々承知しているのだ。
それを毎回のように指摘してくるこの男こそ女々しい程にしつこい、と雲雀は口を尖らせた。

今回の『らぶ☆ひっと』は恭野ヒバリが片思いの山木タケシをデートに誘おうとするけれども、勇気が出せずに言い出せない――そんな内容だった。近付きたいけれど誘いたいけれど、断られるのが怖くて言い出せない繊細な乙女心。いじらしいまでの葛藤! 先程読んだ内容を心の中で反芻して、雲雀は目尻を赤く染める。
再び高鳴る胸の鼓動を収めようとしても、今度は雲雀の頭に綱吉の柔らかくって可愛くってどうしようもない笑顔が浮かぶ。ますます動悸が速くなって仕方がない。
例えばもし休日にもあの笑顔が見れたとしたらどうだろうか。
制服ではなく私服の綱吉が雲雀と並んで街を歩くのだ。雲雀が微笑めばお日様のような笑顔が当然のように返ってくる。そしていつの間にか自然と二人の手は繋がってたりなんかして。――そんな幸福ってない。
ほぅ、と初々しいしく染まる雲雀の頬。
雲雀の手から取り上げた少女漫画雑誌をぱらりぱらりとめくりながら、骸は笑いをかみ殺す。
こんな純な人間今時そうはいないだろう。そしてわかりやすい、と骸は心の中でひっそり思った。
どうやら今回の『らぶ☆ひっと』は彼にいい刺激となったようだ。

「雲雀君、綱吉君をデートに誘ってみたらどうですか?」
「デッ……!」

雲雀は切れ長の目を見開いてひどく驚いた顔をする。なんで考えていたことがわかるのだ、と雲雀は眉を寄せた。わからいでか。しかし骸は緩い笑顔でその質問を軽く流すことにした。顔に出やすいのを指摘して、雲雀が意識して表情を作るようになってしまってはつまらない。

「いいじゃないですか。クリスマスなんて、デートの口実にはぴったりですよ」
「クリスマス……」

そういえばもうそんな季節だったか。骸が広げた少女漫画雑誌には少女向けにクリスマスの理想のデート特集!などという記事が見開きにカラーで載っている。
雲雀はクリスマスという行事が特別好きなわけではない。別にクリスチャンな訳ではないし、祝う意味はないと思っている。
だがしかし、クリスマスは何と言ったって、可愛い。
街が浮かれ騒ぎ、人が群れをなすのには眉をしかめざるをえないが、それにしたってクリスマスの季節が近付いた街は可愛い。赤や緑に装飾され、電飾が煌き人々の目を楽しませる。サン○オやディズ○ーのキャラクター達はこぞってサンタのコスプレをする。雪に見たてた綿を被った人工のモミの木につけられたツリーのオーナメントに可愛らしくリボンを結ばれたクリスマスプレゼントに白いおひげのサンタクロースに可愛いお菓子。クリスマスで溢れた街は可愛らしさがぎゅ、と濃縮された砂糖菓子のようだ。
その中でも何といってもクリスマスといえばケーキだ、と雲雀は思う。
まるで宝物のように精巧に飾られたケーキには胸をときめかせずにはいられない。ブッシュドノエルにシュトレンにクリスマスプディングにパネットーネ。日本特有のマジパンが飾られたショートケーキも捨てがたい。
こうして雑誌の記事の写真を見ているだけで鼓動が早くなるのだからその威力は絶大だ。可愛いものに滅法弱い雲雀にはまさに「かいしんのいちげき」で大ダメージだ。

「綱吉君と一緒にクリスマスケーキ、食べたくありませんか」

食べたいに決まっている。
むしろケーキを作ってあげたい。

二人きりで同じ雲雀の手作りケーキをホールのまま、フォークでつつく情景をリアルに想像してしまい、雲雀は頬を染めた。そのまま、あーんとかしてみちゃったりして。いや、駄目だ。それはまだ早い。お付き合いをしているわけでもないのにはい、あーん、だなんて。恥ずかしくってできやしない!
オトメンの夢見る妄想は止まらない。夢の世界に旅立った雲雀に、特徴的なオッドアイが生温い視線を送った。

「がんばってくださいね、雲雀君」

僕のためにも。――いや、正確には僕の漫画のために。


***


タケシ君とクリスマスを過ごせたらどんなにステキなことかしら……。
ねぇ、それってまるで恋人同士みたいじゃない?
だけどどうやってタケシ君を誘えばいいのかしら。
私とデートしてください?
デートだなんて!! 恥ずかしくってとてもじゃないけれど言えない!
それに断られたらどうしたらいいのかしら。
ああ、もう臆病なヒバリ……!
いざというときにどうしてこんなに意気地無しなのっ!?



***



仕事をしている雲雀を応接室に残して骸はどこかへ行ってしまった。けれども登校する時から鞄も教科書も持っていなかったのだから授業に行くのではあるまい。どこで何をしようとも雲雀は口を出すつもりはないが、並盛の風紀だけは乱さないで欲しいものだ。
今朝買ったばかりの少女漫画雑誌を膝の上で開いたまま、雲雀は小さくため息をついた。何度も読み返した内容だけれども、何度でも共感して切なくなってしまう。ああ、恭野ヒバリも自分と同じように悩んでいる。
クリスマスイブの日は空いている?一緒にケーキを食べに行かない?クリスマスケーキを作るから一緒に食べないか。街でクリスマスのイベントがあるらしいんだ。
綱吉を誘うための言葉が頭に浮かんでは消えていく。どうもぱっとしない。雲雀の乙女思考を知っている綱吉相手には今更の気もするが、ケーキを口実にするのは男らしく無い気がする。

僕とデートしない?

……言えるものか。
想像しただけでも雲雀は耳まで熱くなってしまう。だけどもしその言葉に綱吉が頷いてくれたら、と思うと暴れだしたくなるくらいに嬉しい。もし承諾してくれたらどうしよう。ロマンチックなデートがいい。クリスチャンではないが、やはり聖なる夜なのだからその雰囲気に酔うくらいで罰は当たらないだろう? キャンドルの灯りでパーティをしたらきっとロマンチックに違いない。
それなら街をデートした後、うちに呼んで手作りのディナーとケーキはどうだろう。綱吉はきっと喜んで食べてくれる。そうだ、クリスマスプレゼントを用意しなければ。何がいいだろう。
綱吉は何をプレゼントしたら喜んでくれるだろ うか。やはりうんと気持ちのこもったものがいいだろう。

まだデートの約束も取り付けていないのに加速する想像に、雲雀の目はきらきらと輝いた。
コンコンという軽い音に雲雀ははっと我に返る。いつの間にかもう昼休みの時間だ。チャイムの音に気がつかないくらいに己の世界にのめりこんでし まったらしい。慌てて開いていた漫画雑誌を机の中に放り込んだ。
頬は赤くなっていないだろうか。熱を持っていないだろうか、と己の頬に触れる。
おそらく大丈夫 だろう、と判断を下して、「どうぞ」と無愛想にノックに返事をした。

失礼します、と柔らかい声で扉を開いたのは日だまりのような香りの雲雀が恋い焦がれる少年、沢田綱吉だった。詰めていた息をふ、と吐き出して雲雀はやんわりと微笑んだ。

「いらっしゃい」

父一人子一人で育てられた綱吉は正しい家庭料理、というものにとんと縁が無く、入学当初は男の料理というよりも素材そのもの、といったお弁当を持参していた。ハム丸ごととレタス一玉、さらに食パン一斤を持参して今日のお昼はサンドイッチです! と輝くような笑顔を見せた綱吉が忘れられない。見兼ねた雲雀が綱吉の分も弁当を作ってくるようになり、便乗した骸も合わせて3人で応接室で昼食を取るのが常となっている。
偏った食生活をしていたためか綱吉は平均的な男子高校生の身長も体重も随分と下回っている。その小柄な身体にきゅんとしてしまうのも事実だが、成長期なのだからもう少し身体に良い食事を取らせなければ。
そう思い、雲雀はいつも弁当を3人前以上持ってくる。そ
の大量の弁当も、そこは育ち盛りの男子高校生3人。毎日綺麗に無くなる。それにしてもあれだけ食べているのに綱吉の肉付きが良くなる気配はない。じ、と薄い身体を凝視すると、綱吉がくすぐったそうに首を傾げた。

「雲雀さん?」

ソファに腰掛ける綱吉は先程まで座っていた骸に比べてはるかに小さい。
骸が中学生にしてはやたらと(おもに縦に)体格が良すぎるため、比べる相手が間違っていることは百も承知であるが、雲雀は明日の弁当には高カロリーの物を増やそうと心にメモをしておいたた。
一人頷く雲雀に小さく笑みを零した綱吉は雲雀の机につまれた書類に目を止めた。

「まだお仕事中でしたか?」

お邪魔なら、と今にも席を立ちかねない綱吉に慌ててもう終わってるよ、と声をかける。それでもつまれた書類に綱吉の目は釘付けで、無理しないでくださいねと本当に心配そうに呟いた。
その言葉だけでどれだけ疲れが癒えることか。綱吉はきっとわかっていないんだろうなと思いながらも、雲雀の胸はじんと温かくなった。

「だって雲雀さん、毎日俺と骸さんのお弁当まで余分に作ってくれてるでしょう?」

睡眠時間とか足りてますか、と首を傾げられて、思わず緩みそうになる口元を引き締めて、そうでもないよ、と一言。綱吉の体のためと心の中で言い訳をしているが、弁当を作る一番の目的は綱吉と一緒に昼食をとることだ。

「好きでやってることだから、綱吉が気にする必要はないよ」

弁当を作ることは雲雀にとって苦ではないし、何より綱吉と一緒に昼食という目的が達成されないでは意味がない。美味しそうに弁当を食べる綱吉を見ているだけで雲雀は幸せな気分になれるのだ。

「でも……」
「弁当を作るのは嫌いじゃないんだ。美味しく食べてもらえれば嬉しいし」

正直骸はいなくていいと思うのだが、骸もいつも美味しそうに弁当を食べるので、結局雲雀は3人分の弁当をいつも作ってしまう。

「忙しい時は、本当に無理しないでくださいね?」
「もちろん」

そう答えれば綱吉が気遣わしげな表情をほわんと笑みに変える。
ああ可愛いな、と雲雀は己の頬が熱を帯びるのを感じた。恋ってすごい。
ただ綱吉が笑ってくれるだけで、一緒にいるだけでどうしてこんなにも幸福な気持ちになれるのだろう。少し早くなった鼓動すら何故か心地よい。それでもやはり気恥ずかしくて、雲雀は少し慌てた風に弁当の用意をし始める。そういえば昼休みになったのに骸が現れない。どうせ昼食時には戻ってくるだろうと思っていたのに。

「骸さんは、今日はもう早退したそうです」

雲雀の疑問を感じ取ったのが、綱吉がそう口にした。
雲雀が怪訝そうに眉を動かすと、綱吉が野暮用があるとか言っていましたよ、と教えてくれる。

「お弁当食べれなくてすみません、って」
「そう」
「二人で三人前を頑張って食べなきゃですね」

今すっごくお腹減ってるし雲雀さんのご飯美味しいし、俺自信あります! と胸を張る綱吉に笑みが零れる。頑張ってねと声をかければ元気の良い返事が返って来る。
そうか、今日の昼食は綱吉と二人きりなのか。雲雀の鼓動はどきんと高鳴った。
今までなんだかんだで綱吉と二人きりになることはあまりなかった。それは雲雀の意気地がないせいでもあったし、機会に恵まれないせいでもあった。
いつもとは違う昼休みに少し緊張しながら、てきぱきと二人で昼食の準備を整える。今日の弁当は綱吉の好きなかぼちゃコロッケが入っている。衣にゴマが混じったそれは、今日一番の力作だ。おにぎりの具はたらこと梅干とツナマヨ。以前梅干はあまり好きじゃないと言っていた綱吉だが、雲雀の漬けた梅干は美味しいと言っておにぎりすると、よく食べてくれる。今日も美味しそうですね、と綱吉が目を輝かせた。

「そういえば骸さんから伝言があるんです」
「伝言?」
「はい。くれぐれも頑張って下さいね、ですって」

弁当を広げる雲雀の手がぴたりと止まる。お仕事のことでしょうかね、と綱吉は嬉しそうに梅おにぎりを手に取った。おにぎりに巻く海苔を手渡してやりながら、雲雀はそうかもね、と曖昧に答える。
もちろん、骸の伝言が風紀の仕事への激励の言葉の訳がない。きっと骸はたいした用事も無いのにわざわざ早退したのだ。目的はどう考えても、雲雀と綱吉を昼休みに二人きりにするため。

つまりは綱吉をデートに誘えと、そういうことだろう。

自称親友は雲雀がデートに誘う機会を作ってくれたらしい。余計なお世話だ、そう思いつつも二人きりという状況を改めてやたらと意識してしまう。この上綱吉をデートに誘わなければと考えると余計にぎくしゃくとした動きになってしまった。 おにぎりを頬張る姿にさえ赤面しそうになる。気づいた綱吉がどうしたんですか、と小さく首を傾げた。

「綱吉、あのさ」
「はい、なんですか」
「くり、」

――クリスマスイブの日は空いてる?
ただこれだけだ。予定を聞いているだけのことなのに、言い出せず、どうしても言葉の途中で切ってしまう。

「くり……栗は、好き?」

なんという意気地なし。
思わず自分を殴り倒したい衝動に駆られるが、綱吉の前でそんな奇行は起こせない。
ぐ、と思わず手に力が入ると、ラップで包まれたおにぎりが手の中でひょうたん形に変形していた。

「栗ですか? 大好きです」

今年の秋もいっぱい食べました! と元気良く返事をされて、つられるように良かったねとにこりと笑顔を返す。違う、違うんだ。こんなことが聞きたいわけじゃないんだ。
それでも綱吉が栗が好きと知って今度モンブランを作ろうと雲雀はこっそり心に決めた。

「じゃあさ、今度、デ、」

――デートしない?

「デザートにモンブラン食べようか……」

誰か自分を殴ってくれ。
らしくもなく、思わずそう思ってしまった。
がくり。肩を落とすと、綱吉が不思議そうな視線をよこした。
それでも綱吉はにこにこと笑顔でまたはい、楽しみです!と返事をしてくれる。

今度一緒にモンブランを食べる約束はできた。しかし、肝心のデートの約束ができない。
せっかく(頼んでもいないが)、お膳立てをしてもらったのに、こんなことでどうするのだ。雲雀の手がとうとうおにぎりを握りつぶしてしまい、梅干が中から飛び出してしまった。多分米粒はおはぎ状態だ。ごめんなさいご飯粒。後できちんと食べよう、と思いつつ、雲雀はぐわりと顔を上げた。

ここでデートの約束が取り付けられなければ男ではない。さあ、言え。口を開け。勇気を出せ。


「そういえば雲雀さん、クリスマスイブの日って、空いてますか?」


一つ目のおにぎりをもくもくと食べきった綱吉が、口の端に米粒をつけたまま首を傾げた。
米粒のことを教えてやらなければ、と思いつつ、雲雀は綱吉の言葉に素直にこくりと頷いていた。

「あの、良かったら、その日一緒に出かけませんか?」

もちろん、この言葉に雲雀が頷かないわけが無い。
頷く雲雀を見て、綱吉の表情が途端にぱあ、と明るくなった。

結果として、雲雀はクリスマスイブのデートの約束を綱吉をすることはできた。
――誘うはずが、誘われてしまったのだけれど。自分のあまりの不甲斐なさに、思わず涙が出そうになった。今なら、男泣きができる。かつて無いほど男らしく泣ける自信がある。

情けない。なんて情けないんだ。
ついうっかり心の中でだが骸に謝罪をしそうになってしまう。
あの男にたとえ心の中でも謝るなど天地がひっくり返ってもありえないだろうと思っていたのに。
けれども、楽しみです!と大好物のカボチャコロッケを幸せそうに口にする綱吉を見ていると、そんな些細なこと、どうでもいいかと思えてきてしまう。雲雀は何とか自分を奮い立たせて、にこりと微笑を浮かべた。

「僕も、楽しみだよ」

そう、楽しみなことに変わりは無いのだ。
ここに骸がいたのなら、ちっとも些細なことじゃないです! と猛抗議しただろうけれども。 

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